トップ > 宮坂香帆 > 宮坂香帆先生 祝30周年! 3000字メモリアルインタビュー♥! ( 2021/10/22 )
1992年にデビューし、次々にヒット作を生み出してきた宮坂香帆先生。そのジャンルは高校生、時代物、オフィスラブにも渡り、今なお2本の連載作品を執筆中!! いつでもあらゆるときめきを与え続けてくれた宮坂先生に、30年間の知られざる思い出エピソードを聞いてみました!チーズ!12月号に掲載のインタビュー、豪華ノーカットバージョンです!
▼現在、大人気『黒崎秘書に褒められたい』『薔薇色ノ約束』の2作品を連載中!
小3の時にお小遣いで初めて買った少女漫画に夢中になって、自分もこういう学園物が描きたいと憧れました。
元々は小1くらいの時に姉が漫画を描いているのを見て、なんとなく見よう見まねで描いてはいたのですが、まだその頃は単に絵を描くのが好きって感じで、思いついたシーンを描くだけでしたから、小3の時のその作品が将来の夢の切っ掛けになったと思います。
でも、16歳で初投稿するまでは1本を描き上げることはなかなか出来なかったです。物語を最後まで描き切るのは大変だなと思いました。
投稿時代担当さんとの打ち合わせの時、担当さんが去り際にふと立ち止まって「あ、デビュー決まったから」と言って去っていったのが凄く印象に残っています。いきなりそんなことを言われて放置されたから「え、それだけ?」ってぽかんとしてしまって。正直あまり喜びや感動もなく淡々としていて、これから大変だなとなんだか他人事のように冷静過ぎる自分にもビックリしたという。デビューが決まった時はきっと自分は嬉し泣きするだろうと思っていたのですがアッサリでした。あと忘れられないのは受賞作がデビュー作ではなかったことですね。通常は受賞作が掲載されてデビューとなるのですが、当時の担当さん的にはその作品でデビューをさせたくなかったみたいで新作を描くように言われました。「じゃあ、なんでデビュー??」と疑問符がいっぱいになったのを覚えています(笑)
デビュー1年目は担当さんの求めるままギャグよりのちょっと変わったラブコメを描いていたのですが、それは自分が描きたいタイプのものではなくしんどかったので、やめて他社に持ち込みをしようと考えていました。新人の頃は自分の考えを主張するという勇気はなかったんです。その頃にたまたま読者ページの仕事で一緒になった新人編集さんに「宮坂さんはギャグじゃなくてラブストーリーの方が向いてると思うんですよね」と言われたんです。その時はピンときていなかったのですが、その後その編集さんが当時の担当さんに直談判して私の担当をしたいと申し出てくれたらしく、その方になった途端ガラリと変わりました。アンケートも担当が変わった直後の1作目で上位に入りトントン拍子で本誌の読み切りから短期連載、長期連載を掴むまで1年弱だったと思います。ネームを描くのが辛かったのが嘘みたいにすんなり描くことができていました。その編集さんに出会ってなかったら漫画家を続けてなかったと思うので感謝しかないです。出会う前は読み切りが良くて年に2、3本くらいしか掲載されなかった作家のどこを見て向いてる方向性に気づいたんだろうと今でも不思議です。
▼本格ラブストーリーに転換後、初の長期連載になり大ヒット!
モチベーションの保ち方は外部の余計な意見に振り回されないことと、落ち込んだらファンレターを読むこと。
あと結構単純なので褒められればやる気が出ます(笑) 私の担当になる編集さんはそこを押さえておけば扱いやすいんじゃないかと。インスピレーションは音楽を聞いて浮かぶこともあれば、普段から興味が沸いたらすぐ見たり調べたりしているので、そういうことが蓄積されて作品と直接関係ないことでも何かの拍子にエッセンスとして出てくるのかなと思います。描くために意識してそうしてるわけではなく元々色々と興味が湧く方なんです。その分、逆にすぐ飽きることも多いのですが…。
自分が楽しんで描けているか、それを読んだ読者が面白いと感じてくれるか、ということです。やっぱり嫌々描いてると辛いし、そういう気持ちは作品からも滲み出てしまうと思うんです。ただ、自分の好き勝手に描きたいものを描くというのはダメだと思っています。それならネットや同人誌で個人的に発表すればいいと思うし、商業誌で描く以上は一番最初の読者である担当さんの意見も聞いて納得いくことは受け入れ、譲れない部分は意見を言いつつ自分なりに消化して作品に落とし込む必要があります。自分が楽しんでるかも大事なんですけど最終的に読者が面白いと言ってくれないと意味ないですからそこは意識しています。やっぱり読者さんに「楽しかった」「面白かった」「早く続きが読みたい」などと言ってもらえた時が1番嬉しいです。サイン会をした時にも感じたんですが、いろんな世代の方が来てくださって、中には3世代で読んでくれてるファンの方もいました。そういうのを目の当たりにすると長いこと描き続けてきて良かったなと思います。
毎月限られた時間の中で何十ページも描いたり睡眠時間が無いのもキツいなって思うことはあるものの、ダイレクトにしんどかったのは11年前に良性発作性頭位めまい症になった時でしょうか。この30年ガンやら病気は色々と経験してきたのですが、これが一番大変だったと思います。起きてても寝てても目眩がして気持ち悪いし、でも連載は休めないしで、治るまで2、3ヶ月程なんとか連載原稿をベッドの上で描いたのを覚えています。もっと早く治るものだと診察で聞いたのに全然治らなくて…まさか違う病気だったんですかね?これらに耐えられたから体力的にもある程度のことには耐えられるという変な自信がつきました。いいんだか悪いんだかわからないですけど。
▼大変な状況でも描ききった『僕達は知ってしまった』も大ヒットに!
今はまだあまり実感はなく、もう30年かとデビューが決まった時みたいに割りと淡々としています。もっとこう、やったぜ!ってなるかと思ってたんですが普段と変わらないですね…日頃からテンション低い方なのですみません(笑)振り返ってみると思うように行かないことが何度もあって、好きで始めたことなのにやめたいとしょっちゅう思ったり、描くのが嫌いになってた時期も沢山あったんですが、結局自分に出来ることはこれしかなくて、続けてるうちにいつの間にか昔よりももっと描くことが好きになれている自分がいます。一番に思いつく辛いことが描くことに対する悩みでなかったのがその証拠かもしれません。一番が体力の問題というのが年を感じてちょっとあれなんですが…。ただ、ここまで続けてこれたのは漫画が描くのが好きというのももちろんあると思いますが、間違いなく周りの人達との縁もあると思うんです。毎回一番最初の読者として叱咤して背中を押してくれた歴代の担当さん達がいたから投げ出さずにここまで描き続けてこれたと思います。もちろん合わない人もいたりで色々あったんですけど(笑)そして、読者さんの存在は私のモチベーションを上げる原動力にもなっています。病気の時も皆さん優しくずっと待ってくださいました。作品を待ってくれてる人がいると思うといつも頑張れます。アシスタントさんに至っては彼女達の助けで私がイメージした世界を紙の上に表現することが出来ていますし、家族には生活面でバックアップしてもらったりとホントに色んな人達の支えがあっての30年です。この先何歳まで描いているかは分かりませんが、描きたい物と体力がある限り続けていきたいと思っていますので、長く読み続けて頂けるよう今後も頑張りたいと思います。
●都築/少女コミック元担当
宮坂先生、画業30周年、おめでとうございます。私は、前田くんから引き継いで担当させていただきましたが、才能が開花されるのは、もっと後のことなので、あまりお役には立てなかったと思っています。当時の印象は、若かったので当然なのですが、絵は達者だったけど、“漫画が好き”という思いだけで、まだ自分の進むべき道はぼんやりとしていたように思います。ただ、印象に残っているのは、打ち合わせをしていて、心の内に秘めた“強い意志”、“頑固の塊”みたいなものが感じられたことです。結局は、そういうものが開花して、その後のヒット作へと繋がっていったんだろうと想像しています。本当に、30年という長きにわたってご活躍され、おめでとう&ありがとうございます。
●萩原/少女コミック元担当
宮坂先生、画業30周年おめでとうございます!ここまで来る道のりは本当に平易ではないものだったともいます。本当にすばらしい作品を生み出し続けてくださりありがとうございます。私は2回宮坂先生を担当させていただきました。1回目は新入社員の際に少女コミックで短期連載を。2回目は宮坂先生がご病気から復帰し、Cheese!に移籍してくださったときです。振り返ると私の人生のターニングポイントは必ず宮坂先生とご一緒に作品を作っていました。宮坂先生と過ごした日々は私の人生の宝物です!宮坂先生の凄いところはゆうに100コ以上語れるのですが、これは突出して凄いと思うのは「ネーム力」と「キャラクター力」です!どのコマも登場人物が考えていることが明確に読者につたわり、人の心を沸き立たせるネームの力(実はほとんど宮坂先生のネームをなおしたことがないのです!)かっこよく、愛らしく、そして多才なキャラを生み出せる力!これが本当にすばらしい!!!連載コンペが面白いほど通り、人気が出て連載の回数が延びていく宮坂先生が、売れていく間近で拝見できて、すばらしくエキサイティングな体験でした。またご病気になったときも漫画への情熱を決して途切れさせることがありませんでした。人間としても尊敬しております。これからもまだまだ凄いキャラクターと作品を生み出してくださいませ。定年までにまた担当したいです。
●山内/少女コミック元担当
「微熱少女」を担当させていただきました。これを書くにあたり再読したところ…読むのを止められなくなりました。やっぱり好きです私。(告白みたいで気色悪くてすみません笑)前作「Kiss in the Blue」が大人気で、でも違う作風にしたいと、男子キャラをガラリと変えて始まった「微熱少女」でした。今まで応援してくれた読者さんに受け入れてもらえるかドキドキハラハラでしたが、超人気となりホッとしたことを覚えています。そして、その後、作品が変わるたびに新しい宮坂ワールドが始まり、その姿勢が今も変わらないのが本当に素晴らしいと思います。なかなかできることではありません。いや普通できません(断言)。私も35年近く編集者をやっていますが、100人に1人もいない気がします。(こちらは、やや弱気、笑)これからも、たくさんの素敵な新しい宮坂ワールドを、お身体に気をつけながら生みだしていってくださいませ。世の中が落ち着いたら、おめでとう会をやりましょうー。その頃には、また新しい作品が始まっていそうですね。楽しみにしています!
●畑中/少女コミック元担当
少女コミック時代表紙担当だった私は、宮坂先生に頼めるタイミングになると、ここぞとばかりに難しい絵ばかり頼んでしまいました。表紙は目線が命なんて言われて、各誌キャラが正面を向いている絵が定番です。でも、宮坂先生ならば、横顔でも読者を惹きつけることが出来る。主人公が本を読んでる、なんて地味な構図も、宮坂先生にかかるととびきり派手な表紙になる。それはとてつもないことで、絵を受け取っては、いつもデザイナーさんと興奮して打ち合わせしていました。
●小菅/Cheese!元担当
宮坂先生、画業30周年おめでとうございます。宮坂先生のすごいところ…、どんなに仕事を依頼しても質を落とさないプロ根性、ヒーローのだだ漏れる色気とかっこよさ、など挙げればキリがありませんが、私は宮坂先生の笑いのセンスがとにかく大好きでした。作中でちょこちょこ出てくるとぼけた笑いと、どこか温かいユーモアは、宮坂先生そのもの!いつもはクールで物静かな方ですが、ときおりぽそっと面白いことを呟いたり、ネームや下絵の頭紙にキャラクターの面白かわいいイラストを描いて送ってきたり。いつも楽しみで、担当編集の役得でした♪どうぞ、これからも読んでいてにやけるときめきと笑いに溢れた作品を描き続けて下さい。
●森原/Cheese!担当
デビュー30周年目、おめでとうございます!担当させていただいてもう7年…宮坂先生に感服した思い出を挙げればキリがありませんが、あえて1つ挙げさせていただくと…宮坂先生は、挑戦し続ける作家さんです。7年前、担当になりたての私によくイラストを送ってくださっていました。その中にあった、『あかいいと』(のちに『10万分の1』)のキャラクター・桐谷蓮がレトロな学ランを着ているイラストがとにかくかっこよくて。他にも和服のイラストがすごく素敵だったので、そこから「和風の時代もの」を描いてみようと始まったのが『薔薇色ノ約束』でしたね。明治大正時代の美麗な着物や豪奢な背景…そして、激動の愛憎劇…連載1話目をいただいたときは、「この完成度…本当に時代もの初挑戦!?」とびっくりしました!それから6年…今度は『黒崎秘書に褒められたい』で、オフィスラブに初挑戦!!『薔薇色』とは打って変わって『黒崎』で描かれるのは、スマートなスーツや都会のオフィス…そして、仕事を頑張るイマドキ女子の恋模様…それも『薔薇色』の平行して描かれているのだからまたすごいです!!常に漫画の新しい可能性に挑戦し、その都度全力。幾度となくその姿を見せていただいて参りました。これからもきっと、宮坂香帆先生は“宮坂先生と言えば、これだよね!”という作品を更新されていくのだろうなぁと思っております。
●志村/Cheese!担当
30周年おめでとうございます!私は昨年からの担当なので、既に大ベテランですごい所がありすぎて選べませんが・・・なんといってもヒーローがかっこいい・・・!昔の作品を読んでも古さを感じさせない画力と人間の描き方がすごいなと何度も思いました。特に横顔がイケメンすぎます。私は『薔薇色ノ約束』を担当していますが、ヒーローの烈は優しい面もありつつ、目的のためには手段を選ばない怖さを持っています。でもその怖さを、「これかっこいい・・・」と新しいかっこよさの概念として読者に伝えているのをみると、これが作家なんだ・・・と良い意味で震えました。今後もたくさん素敵なヒーローを生み出してください!!
「宮坂先生が考える少女漫画家サバイバル術インタビュー」も公開中♥チェックしてね!!
https://comics.shogakukan.co.jp/news/tag/interview
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