恋愛コミックの描き方
作画ハイテクニック
第3回 宮坂香帆の世界
まるで温度があるような絵の暖かさ、そしてふんわりと包み込む空気感----。宮坂香帆先生の絵の魅力を大分析だよ!
下の絵を見て見て!
絵の中から本当に雪斗に見つめられてるみたいで、ドキドキしてきちゃうね。
こんな素敵なイラスト、どうしたら描けるようになるの!? 教えて、宮坂先生!!
何度も塗り重ねることで、色の深みや質感を出す
肌・肌の影「人物の印象を決める肌は色を重ねて作っていく」
―肌―
「最初は、肌から塗っていきます。肌は一度に塗らず、薄い色を何度も重ね塗りして色を出していきます。そうすると、色に厚みや深みが出て、絵が違ってきますね」
まず、写真①では、肌のベースの色を塗っているよ。よーく見ないと分からないくらい薄い色だね。
そして②〜⑤のように、同じ色を何度も塗り重ねながら、肌色を作っていくんだ。こうすることで、一度塗りしただけでは出せない立体感や肌の質感、透明感が出せるんだね。
「インクは水を多めに入れて、かなり薄めて使います。薄い色で塗るので、5回以上は重ねていきますね。ムラにならないように塗るコツは、インクが乾かないうちに早く塗ること。ていねいに塗ろうとするよりも、手早く“色をのせていく”ことに集中します。」
まず、一番明るい部分に合わせた色を全体に塗り、少しずつ濃くしたインクで色の濃い部分を塗り重ねていく(写真①〜⑤)。写真⑤の段階までで、なんと5回、重ね塗りしているよ。
―肌の影―
肌全体に色を載せたら、写真⑥、⑦〜⑨のように、手の筋や影など、色の濃い部分にさらに色を重ねていくよ。ここでも、薄い色を塗り重ねながら濃い色にしていくよ。
「肌を塗るのは、カラーの中でも一番好きな作業ですね。ふわっとした質感を描くのが好きです。女の子の肌にピンクを載せて色づかせていく時なんて、本当に楽しいです(笑)」
6度目の重ね塗り。手の甲の筋などは、何度も塗ることでハッキリした線として、浮き出てくるよ。
陰に使う色は、肌と同じインクを少し濃くして使用しているよ。ことりの髪がかかる部分などにも、ていねいに影をつけていくのだ。
指の曲げ方などで肌の色が微妙に変わる部分にも、影の色をつけていくよ。重ね塗りすることで、指の質感がよりリアルに。
明るい色から塗り始め、だんだん濃い色を載せていくよ。その時、肌の明るい部分を塗り残して、濃い色とのコントラストで、立体感や肌の輝きを表現していく。境目を自然になじませるため、下の色が乾かないうちに、手早く次の色を塗り重ねていくのがコツ!
髪「髪は一番時間をかける部分 毛束感は重ね塗りで出す」
「髪を塗る時は、毛束の立体感や髪が流れる感じを出すため、色と色がまざらないよう、1回1回乾かしながら塗り重ねます。だから、肌より時間がかかりますね。髪も5〜6回は重ね塗りします。」
写真IJを見てね。
まず髪全体に薄い色を塗っていく。この段階で、天使の輪(髪の光っている部分)は、塗り残しておくようにするよ。そして、毛束や髪の流れに沿って濃淡をつけていく。この時も、同じ色のインクの濃度を変えて塗ることで髪の質感を出すよ。
髪は一番塗り重ねが多く、時間がかかる部分。まず、薄い色を全体に下塗りして、色を重ねていく。このとき、明るいハイライトになる部分は、あまり色を入れずに塗り残すようにしておくよ。
髪は肌の部分と違って、濃い色と薄い色をにじませずに塗るので、1回塗り終えるごとにインクを乾かしてから、次の色を重ねるよ。同じ色のインクを薄め方を調節して少しずつ濃くしながら塗り重ねて、毛束の流れを描いていくよ。
色が乾く間にほかの部分を塗る!
肌や髪のインクが乾くのを待つ間に、服など別の部分を塗ることで、無駄なく能率よく作業をすすめていくよ。
細かい部分はコピックを使用。

目「細かい部分に色を入れて絵に厚みを持たせる」
「最後に、目のまわりの影など、細かい部分に色を載せて、絵に奥行きを加えていきます」
時間をかけて何度も重ね塗りをしながら仕上げられていく宮坂先生のカラーイラスト。雪斗のドキッとするようなリアルさは、こうして生まれたんだね!
目の周りやまつげにも、薄い茶色で影やフチをつけていく。目の存在感が、全然変わってくるのだ。
「目の周りに影を入れるのが好きなんです」という宮坂先生。このように仕上がった雪斗には目力が! ホワイトのハイライトで瞳にも輝きを入れる。
そして、これが完成したイラストの全体像。扉で使われた部分よりも外側まで描かれてたんだね。
カラーを描く紙にこだわりがあると伺いましたが?
(宮)いろんなメーカーの紙を集めて試してみたんですが、にじんだり、使い心地が悪かったりと、失敗も多くて(笑)。今は、フランス製の水彩紙『アルシュ』という紙の極細目を使ってます。水にも強いので、重ね塗りをしても大丈夫ですね。前は、イタリアの『クラシコ・ファブリアーノ』を使ってましたが、使用していた型の水彩紙が今は手に入らなくて。
愛用の水彩紙『アルシュ』 B2サイズを切って使うそう。
道具は、いろいろと試されているんですね。
(宮)実際に色々使ってみて、一番自分の絵に合ったものを見つけるようにしてます。筆やカラーインクなども、道具は一通り試して選ぶから、ムダにした物もいっぱいで…(笑)。
でも、自分に合う道具を徹底的に探すのは、絵を描く上でとっても大切ですね。道具によって絵も変わってくるし、繊細さや絵の深みを出せるよういろいろ試してます。
カラーインクで描くコツを教えていただけますか?
(宮)インクは色によってクセがあるので、何度も描いて研究するのが一番! 肌色なども、インクを組み合わせて、自分の絵に合う色を見つけるといいですよ。私も新人の頃、どう描くのかわからなくて、毎日カラーを描いてました。いろいろ挑戦して失敗すると覚えるから、たくさん描いてたくさん失敗することでコツがつかめます。がんばって下さい!
宮坂先生がよく使うインク
[女の子・肌]Dr.マーチン 38Cトロピックゴールド+46Dサンライズピンク
[女の子・髪]Dr.マーチン シンクロマチックセピア10
[男の子・肌]Dr.マーチン 31Cバートンオレンジ
[男の子・髪]Dr.マーチン シンクロマチックベージュ15
